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槍ガ岳3180m 北鎌尾根
今回で2度目となる北鎌尾根は、カメラ2台と三脚、GPSや電池など、その他の機器が増えた為、意外なほど重いザックになってしまった。梅雨明けが遅れて怪しい天気が続いていたが、明日から3日間は安定した天気になりそうだ。

相棒が30分以上も遅刻してきて中房温泉の登山者専用駐車場に車を停めることが出来ず、ケーブルカーの事務所付近で路上駐車することにした。先週の三連休は天候が悪かった為か、登山者は今週に集中してるようだ。登山道は団体客が列を作って歩き、足が痙攣してる人とか、日頃のトレーニング不足から無理な荷物を背負って悲鳴を上げてる人とか、色んな人が表銀座を歩いている。燕山荘の前では「燕山荘の宿泊者は600人〜1000人ぐらいになるらしい」と噂話が聞こえてきた。


表銀座のコマクサがある場所には、写真を撮るために登山道を外れて砂礫の中に足跡があったり、コマクサを抜き取って放置された場所もあった。今の時代、自然保護を訴えてる人達が多いのに、その事を理解してくれない中高年が多いようだ。大天井ヒュッテに到着してから先日登場したウーちゃんを探すが見つからず、CCレモンを調達して貧乏沢の入口へ直行した。

貧乏沢の下りは、時期が遅いせいか昨年と比べると浮石も少なく楽に下れた。木にぶら下がりながら慎重に通過したり、雪渓の末端で涼むなど、相変わらずスピードが遅い。そうこうしているうちに天井沢が見えてきた。

北鎌沢の出合いには、自分達を含めて10人ぐらい人間がガヤガヤ騒いでた。背負っている荷物を降ろし、テントの準備を始めていると女の人が声を掛けてきた。「誰だろう?」と思っていると餓鬼岳で擦れ違った人だった。


なるべく早めに出発する予定だったが、隣で寝ていた住人がゴソゴソ起きだしたので暗いうちから出発することにした。前回は北鎌沢でルートのミスをしてしまい偉い目にあった。今回は慎重にルートを見定めながら、お助けロープがある場所を通過して、難なく北鎌沢のコルに到着した。確か、ここに黄色いテントの残骸があったはずだが、今回は見当たらない。天候もバッチリで裏銀座も良く見える。

相棒のマッケンは、底知れぬパワーでピッタリ追いかけてくる。振り向けば貧乏沢が小さくなって見えていた。天狗の腰掛で休憩することを伝え、猿登りでハイマツに捕まりながらガシガシと高度を稼いでいく。

快晴の北鎌尾根は素晴らしい。前回も好天だったが裏銀座や表銀座を見渡せてウキウキ状態である。中判カメラとデジカメを取り出しカシャカシャと撮影を始めた。


独標を直登するか、それともトラバースするか悩んだが、相棒の実力がハッキリしないのでトラバースしてから独標に登る事にする。前回は、トラバースの途中から独標を目指して登ったが、何処を登ったのか憶えていない。
 

残置ロープがある小さなチムニーに到着した。ロープに頼って登るのが苦手だったので、ロープの左側からグイッと体を持ち上げて通過する。その後、独標を目指して一直線に登る。


独標からの景色は素晴らしい。360度の大パノラマが広がっており、相棒は後続のパーティーに手を振って自分をアピールしていた。


独標から稜線を忠実に歩いていたが何箇所か危なそうな場所が現れたので、自分は慎重にクライムダウンして相棒は懸垂下降で通過してもらう。もしもの為のロープだったが今回は役立ったようだ。後続のパーティーを観察していると、ここを避けて怪しげな巻き道へ消えてしまった・・・トラバースルートは楽かもしれないが、最後が大変なんで稜線を歩いたほうが確実に早い。

北鎌平をトラバースすると面白くないので、北鎌平で昼寝することにした。頂上から丸見えの場所だが、誰にも邪魔されず、目を開ければ大槍が目の前にある。とっても大迫力だ。


目を覚ますと、だいぶ時間が過ぎていた。ガレ場を登って、無造作に付けられてしまった赤いペンキに惑わされながらも上のチムニーに到着する。
前回はチムニーを嫌って右からグルッと回って超えたが、今回はフリーで登ってザックをロープで引き上げることする。ザックを背負ってないと体が軽くて、まるで槍ヶ岳を登る猿になった気分である。

シーンとしている頂上は、皆さんの目線も冷ややかだった。頂上からテント場の混み具合を確認すると今日の寝床が確保できそうな感じである。受付を済ませ、槍岳山荘の喫茶店で生ビールと食料を買い込み、本日の行動が終了した。

3回連続で同じ場所にテントを設営する。登山道から離れて風も避けられるので、意外なほど快適である。

素晴らしい雲海を眺めながら夕日を待っていたら、山荘から続々と登山客が集まってきた。


  翌朝、天井沢で知り合ったパーティーと挨拶を交わし、ブラブラと歩きながら上高地へ向かった。2週間前にも歩いてる登山道だが、残雪も少なく、槍沢の高山植物も見頃である。ゆっくり夏山を楽しみながら上高地に到着。松本行きのチケットを手にして15時15分発のバスに飛び乗った。  

第1日目 中房温泉(5:30)〜合戦小屋(8:23)〜燕山荘(9:45)〜大天井ヒュッテ(14:12)〜貧乏沢入口(15:01)〜天井沢(17:12)〜北鎌沢出合い(17:39)

第2日目 北鎌沢出合い(5:00)〜北鎌沢コル(6:55)〜天狗の腰掛(8:23)〜独標(10:08)〜北鎌平(13:17)〜槍ガ岳(15:54)〜槍岳山荘(16:40)

第3日目 槍岳山荘(7:12)〜横尾(11:20)〜明神(14:01)〜上高地(15:00)

2003年8月2〜4日


登山をされる方へ

日帰りで帰ってこれる山登りが中心となっています。
山に登られる方は地元の警察や登山地図を参考に登山計画を立ててください。なお、このサイトはあくまで私が見た現地の様子なので、参考程度に御覧下さい。