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槍ガ岳3180m 北鎌尾根
「槍ガ岳」の山名を知らない人は数少ないと思う。槍ガ岳の北鎌尾根は数々のドラマを生み、あこがれの北鎌尾根として人気が高い。「途中ビバークなしで軽量速攻スタイルで槍ヶ岳に登れる」とガイドブックに紹介されているが、ルートを知り尽くし超人的な体力を持っている人のことを言うのだろう。今回の装備はロープ、テント、3Lの水など、余計な荷物をたくさん詰め込んだ為、ザックの重さは23Kgと重量オーバーである。

中房温泉から表銀座の縦走路を通り、大天井岳に登ってから大天井ヒュッテに到着した。ここには北鎌尾根の最新情報が掲載され、北鎌尾根のアドバイスも受けられる。途中、ビバークしないで北鎌尾根から槍ヶ岳に目指す人達は、ここに宿泊する。

大天井ヒュッテから20分ほど歩くと貧乏沢入口の標識がある。ここから北鎌尾根の領域となり、足を踏み入れた瞬間から気持ちを入れ替える。

貧乏沢は浮石が多く、落石を起こさぬよう慎重に下る。貧乏沢は左側に巻き道があるのでルートに困ったら探すと良い。

雪渓に埋もれた滝が現れた。巻き道は左側にあるはずだが雪渓に埋もれて見つからない。雪渓から落ちないように慎重に下る。ここを過ぎると、しばらく雪渓歩きとなり、天上沢出合い付近で熊笹の中を下る。

天上沢には、幕営したと思われる場所が何箇所かある。適当な場所にテントを張り明日に備える。

北鎌沢の入口にケルンや銀マットがあるらしいが、それらしき物が見当たらない。幕営地から右を見ながら最初の沢が北鎌沢である。しばらく登ると左側の岩に何かが埋め込まれている。

直進的に進みながら北鎌沢の右俣に入る。右へ右へと進まなければならない沢を、最後の二俣で左に進み苦労する。草と枝を掴みながら、やっとの思いで本来のルートに合流する。

視界が開けた場所に北鎌沢のコルが見える。だいぶ左に寄りすぎてしまった。本来なら右側を登り、北鎌沢のコルに到着する予定だったが、何とか登ってきたので良しとしよう。この辺りの中央付近に踏跡がある。

北鎌沢をフルパワーで登ってきたので全身に疲労感が漂う。ここは、テントを1張だけのスペースと捨てられた黄色いテントの残骸がある。もう少し右側を登っていればデポされたザックを見る事ができただろう。ハーネスを装着してハイマツに掴まりながら天狗の腰掛に進む。

天狗の腰掛から見る独標はデカイ。直登するルートもあるらしいが自分の力量では難しい。トラバースするルートを考えていたが、独標の中間(右側の槍みたいな岩の上)から天狗の腰掛にいた登山者を見るとは予想もしてなかった。ここを過ぎると幕営に適した場所がある。

独標手前に幕営したと思われる場所がある。ここは某ガイドブックに載っていた場面であり踏跡も明瞭である。

独標のトラバースルート。


オーバーハング気味の場所を通過して振り返る。このままトラバースを続ければ良かったが、途中でハーケンが3本打ってある場所を見つけてしまい無理やり登る。本来なら残置ロープが垂れている場所を登らなければならないようだ。

一直線に登って行くと独標の頂上に到着した。ここからP11へは稜線を歩いていける。ここで懸垂下降を必要とする場所は見当たらない。

体力切れで北鎌平でビバークしようか迷っていたが、明日の天気は分からない。後続には2人組と3人組のパーティーがいる。彼らはどうするのだろうか?

  独標からP12まで稜線を歩いてP13はトラバースした。後続のパーティーはP13付近で稜線を歩いてきたが、ここはトラバースしたほうが速い。後続のパーティーがP14手前で追い着き、協議の結果、私はトラバース、彼らは稜線から進むことになった。その結果、トラバースルートは行き詰まって稜線に登ることになる。ここで彼らに30分も遅れてしまった。  

  P15で「諸君頑張れ」と書かれた標識を見つける。文字からして何十年も前の物だろう。2人組のパーティーは北鎌平に到着していた。  

  北鎌平手前にビバークできそうな場所がある。ここも直登して超えようかと考えていたが、トラバースしてガレ場を登ったほうが速そうだ。トラバースルートは踏跡も明瞭だったが、体力の消耗が激しいので直線的に北鎌平に登る。  

  分かりやすい「ココが北鎌平」の岩を見つける。ここで休憩して大槍のルートを観察する。
槍ヶ岳の山頂にいた登山者が、北鎌平にいる私を見つけて山頂に登ってくるのを待っていた。
 

  大槍は今まで通過してきた岩場と変わらない。ここからチムニーのテラスまで分かりやすい。天上沢側に巻きながら登れそうな場所を見つけて登る。  

  テラスに到着して左側に進むと有名なチムニーがある。ザックが重く、疲れた体に厳しい場所だったので、いったん戻って右側からチムニーを巻くルートを選択した。  

  右側のルートはチムニーより優しい登りだが、ザックが重いので振られないように気合を入れて登る。残置ロープやハーケンもあるので、このルートは疲れた時に正解かもしれない。ここを超えるとチムニーの上に簡単に行ける。  

  ギャラリーがいると、とっても緊張する場所で、ここだけは平気な顔をして登る。「北鎌平にいる時から見てたよ」と声を掛けられ写真も撮られてしまった。山頂にいた8割ぐらいの人は北鎌尾根を知らない。相手もしてくれない。1年前の自分も同じだった。  

  大槍に登ったら山荘まで下山しなければならない。ハシゴや鎖があるけど疲れた体に厳しい。
渋滞も無くてスムーズに槍岳山荘まで降りることができた。さっそく幕営の手続きを済ませ、新しくなった山荘でテレホンカードを購入して報告をする。
 

第1日目 中房温泉(4:36)〜合戦小屋(7:28)〜燕山荘(8:40)〜大天荘(12:37)〜大天井岳(13:02)〜大天井ヒュッテ(13:45)〜貧乏沢入口(14:09)〜天上沢(16:42)

第2日目 天上沢(5:34)〜北鎌沢(5:53)〜北鎌沢右俣(6:28)〜北鎌沢コル(9:26)〜天狗の腰掛(10:51)〜独標基部(11:44)〜独標(12:45)〜北鎌平(15:45)〜槍ガ岳(16:53)〜槍岳山荘(17:15)

第3日目 槍岳山荘(6:35)〜槍沢ロッジ(9:07)〜横尾(10:17)〜徳沢(11:44)〜明神(12:54)〜上高地(13:50)

2002年7月20〜22日

「この地図の作成に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図50000(地図画像)及び数値地図50mメッシュ(標高)を使用したものである。(承認番号 平15総使、第244号)」


登山をされる方へ

日帰りで帰ってこれる山登りが中心となっています。
山に登られる方は地元の警察や登山地図を参考に登山計画を立ててください。なお、このサイトはあくまで私が見た現地の様子なので、参考程度に御覧下さい。